山口県阿武町から24歳の田口容疑者へ誤入金された事件。
4630万円のうち、町に約3500万円の入金があったことが報道されました。
田口容疑者が使用した3つの決済代行業者のうちの一つから、町の口座に返還されたとのことです。
決済代行業者から返還されたというのはどういうことなのか、調べてみました。
決済代行業者が阿武町に約3500万円返還!
山口県阿武町の無職、田口翔容疑者に誤送金された臨時特別給付金4630万円。
誤って入金されたことを知りながら、オンラインカジノで全て使ってしまったと供述していました。
しかし、2022年5月20日に、そのうちの3500万円余りが町の口座に返還されていたそうです。
田口容疑者はA社、L社、M社の3つの決済代行業者を利用。
A社には約3592万円、L社には300万円、M社には400万円入金していたことがわかっています。

今のところ、田口容疑者が一番多くの金額を入金していたA社から、お金が戻ってきたと伝えられています。
【図解】ネットカジノの仕組みとは?
田口容疑者の弁護士は、
「本人は『海外のカジノサイトで全部使った』と言っております。現実問題として、いま彼に資産も収入もございませんので」
と言っていましたが、実際には決済代行会社にお金があった、とみられています。
決済代行会社とネットカジノの関係図がこちらです。

プレーヤーはネットカジノをする前に、決済代行会社の電子決済サービスを利用して、お金からチップに変換。
そしてカジノを終えた後はチップが払い戻され、これも決済サービスを通じてプレーヤーの元に出金されるという流れだそうです。
決済代行会社の電子決済サービスを通して、お金↔チップの変換をする。
田口容疑者は海外の電子決済サービスを利用し、チップか現金として残していた可能性があります。
マネーロンダリング(資金洗浄)のために、海外の決済代行会社やネットカジノを悪用していた疑いがあるそうです。
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決済代行業者が阿武町に返還したのはなぜ?
ではなぜ、決済代行業者が阿武町に返還したのでしょうか?
田口容疑者ではなく、決済代行業者から返還されたと伝えられています。
2つの説があります。
① 業者が捜査の対象になるのを避けるため、先に町に返還した
② 田口容疑者経由で業者からお金を戻した
①業者が捜査の対象になるのを避けるため
業者に捜査の目が向けられるのを避けるため、先に返還したのではないか、と言った意見が出ています。
3500万円余を返金した決済代行業者、捜査の対象になるのが嫌だから、入金分耳を揃えて戻しただけではないのか。果たしてこれで逃げ切れるのか。
— ま。 (@mmmmaaa____) May 23, 2022
業者はなぜいきなり、町に返還したのか。ネット上でも<何だか業者も怪しいな><業者は報道で大騒ぎしているのを見て、面倒なことになったと思って慌てて返還した><ネットカジノという灰色の世界で、捜査の目が自分たちに向くのを嫌がった>など様々な見方が出ている。
引用:日刊ゲンダイ
決済代行業者も色々な捜査が入ると困るので、立て替えて返還したという説。
しかし、このお金が阿武町からの入金と証明できるのか、その点は疑問が残るようです。
②田口容疑者経由で業者から返還
もう一つは、田口容疑者の口座にチップか現金でお金が残っていた説。
この場合、田口容疑者経由で業者から町に返還した可能性があります。
ITジャーナリスト三上洋さんは、このように推測しています。
決済代行会社にお金があったということです。容疑者自らが出金して、阿武町の口座に入れたのではないか。警察に預けられていたスマホ等を使って、容疑者が実際に決済代行会社にログインして、残ったお金を戻すという操作をしたのではと推測しています。
また、みずほ中央法律事務所・三平弁護士によると、
代行業者が町に返還することは現実的ではなく、田口容疑者が委任状を書くなど、手続きを行った可能性がある
と推測しています。
今後、町の方から説明がされる予定となっています。
追記:5/24 阿武町の代理人弁護士の会見
5/24 に、阿武町の代理人弁護士である中山修身弁護士の会見が行われました。
4299万円を法的に確保出来たと伝えられています。
残りの2社(L社、M社)の分も返還されるそうです。
阿武町が決済代行業者に民事裁判を起こしたところ、決済代行業者から送金されてきたとのこと。
田口容疑者にたまたま滞納税があったため、これを徴収するということで、国税徴収法に基づき、決済代行業者の口座を差し押さえて、取立命令を出していたそうです。
弁護士は、正直なぜすぐにお金が戻ってきたのか分からないとのこと。
警察が圧力をかけたのか、または、決済代行業者が強制捜査で色々と調べられることを恐れて返金したのではないか?と推測されています。
また、田口容疑者のお金が戻ったのか、決済代行業者が立て替えているのかについては明らかにされていません。
追記:5/26 田口容疑者の口座残高は600万円

田口容疑者の口座に、600万円しかなかったという情報が出てきました。
それ以外の4299万円は、業者からの立て替えの可能性もあるそうです。
やはり警察の捜査がこれ以上入ることをおそれて、業者が肩代わりしたのではないか、と今のところ見られているようです。
阿武町の代理人弁護士の会見で事情がだいたい分かりました。この弁護士や町役場職員が国税徴収法に基づく差押+取立命令+マネロン法の「疑わしい取引」にあたるぞというプレッシャーを決済代行業者に与えたところ、送金されてきた模様です。この弁護士も決済代行業者から先の金の流れについては不明とのことでした。
また、送金分すべてが直ちに町のものになるわけでなく、徴収権を超えた部分はいったん男に返し、その上で差し押さえる必要があるので、「法的に確保」という言い回しを使ったとのことです。
引用:元特捜部主任検事、前田恒彦さんより
阿武町は具体的な税目や金額については守秘義務の関係で明らかにしなかったもののの、男に滞納税があったので、これを徴収するということで国税徴収法に基づいて決済代行業者の口座を実質的に男の口座だとみて差し押さえ、取立命令を出したとのこと。
町の動きが遅すぎるという批判の声も上がっていましたが、実際には水面下であらゆる手を使って迅速に動いていたようですね。
ただ、町の徴収権が及ぶ金額は決済代行業者から送金された約4300万円のごく一部であり、それを超えた部分は法的には男の金ということになるので、いったん男に返し、その上で改めて町が差し押さえる必要があるし、町の代理人弁護士の調査では男はクレサラ業者に債務があり、もし町に送金された約4300万円が彼らによって差し押さえられると、町が被害分を全額回収できなくなる可能性もあることから、町は会見で「法的に確保」という慎重な言い回しを使っているとのことです。
引用:元特捜部主任検事、前田恒彦さんより
田口容疑者に入金されたお金であるとは証明できないものの、今のところ振り込んだ額の9割返金されることになったようです。
追記:6/28「全額返済完了」
2022年6月28日、全額返済が完了したことが報じられました。
山口県阿武町の4630万円誤給付を巡り、電子計算機使用詐欺容疑で逮捕された住民の田口翔容疑者(24)の代理人弁護士は28日、「全額の返済が完了した」と明らかにした。町が未回収だった約340万円について、友好的なスポンサー「ホワイトナイト(白馬の騎士)」から借り入れて支払った。
代理人によると、容疑者は4630万円が誤って振り込まれた4月8日から19日までに計約4630万円を出金。内訳は決済代行会社3社に計約4290万円と、デビット決済約340万円だった。
引用:KYODO
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まとめ
今回は、阿武町に誤送金されたお金のうち、3500万円余りが戻ってくることについて調べてみました。
田口容疑者が使用した決済代行業者のうちの1社から、町側に返還されたとのこと。
決済代行業者とネットカジノの関係については、プレー前後のチップの変換であることが分かりました。
そして、決済代行業者から町に返還された理由について、ネットで噂されている仮説や、専門家の意見をまとめました。
追記:田口容疑者に滞納税があったことで、決済代行業者の口座を差し押さえて、取立命令を出した→決済業者から送金という流れになったようです。
5/24現在、3社の決済代行業者から計4299万円が返還されると伝えられています。
追記:6/28「全額返済完了」したことが報道されました。
